犬の耳の炎症を鎮める「ミミィーナ」について解説[獣医師・薬剤師監修]●
ミミィーナについて解説
今回は、犬の耳の炎症を治療するための点耳薬「ミミィーナ」について、薬学的な観点からご紹介します。犬が耳を痒がるときや、外耳炎の症状が見られるときに役立つ薬です。この記事では、薬の成分や使い方、副作用について分かりやすく解説します。
薬学的な解説:ミミィーナの有効成分
ミミィーナの主成分は ピマリシン です。ピマリシンは、真菌(カビ)の細胞膜に作用し、特に エルゴステロール という成分と結びつきます。この結びつきにより、真菌の細胞膜の透過性が変化し、細胞内の内容物が流出します。その結果、真菌は死滅し、外耳炎の原因となる マラセチア菌 の数が減少します。これが、耳の炎症を改善するメカニズムです。
ピマリシンは真菌に選択的に作用するため、犬の正常な細胞にはほとんど影響を与えません。
簡単に説明すると
ミミィーナの主成分である ピマリシン が、耳の炎症を引き起こす真菌の増殖を抑え、耳の症状を改善します。つまり、耳の中で増えすぎた真菌を退治し、炎症を和らげるお薬です。
副作用と安全性
ミミィーナは非常に安全性が高い薬です。臨床試験では、789例中2例(0.25%) の犬に副作用が報告されました。その内容は以下の通りです:
- 耳の発赤(0.13%)
- 耳の痒み(0.13%)
これらの副作用は一般的に軽度であり、使用を中止すると自然に回復します。このデータからも、ミミィーナは非常に安全で副作用が少ない薬であることが分かります。
使い方のアドバイス
点耳薬を使う際には、いくつかのポイントを押さえておくと、ペットも快適に薬を受け入れやすくなります。
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耳を持ち上げる
犬の耳をしっかり持ち上げ、耳の穴が見えるようにします。 -
優しく点耳する
背後から優しく耳介に沿わせて点耳します。正面から無理に入れると、犬や猫が嫌がることが多いので、必ず後ろから優しく行いましょう。 -
褒めてごほうびを
点耳がうまくできた後は、犬をたくさん褒めてあげたり、ごほうびを与えたりすると、次回も協力してくれやすくなります。おやつやお散歩など、楽しいことが待っていると受け入れやすくなります。
注意点
ミミィーナは、真菌性の外耳炎 には効果的ですが、外耳炎が非常に重症化している場合や、耳の奥まで炎症が広がっている場合には、薬の効果が十分に発揮されないことがあります。このような場合は、獣医師の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。
また、ミミィーナを使っても効果が見られない場合は、原因が他にある可能性も考えられます。獣医師に相談し、外耳炎の原因を正確に特定したうえで、適切な治療を選択することが大切です。
まとめ
ミミィーナは、真菌性の外耳炎に対して非常に効果的な点耳薬です。ピマリシンという成分が耳の中で増えた真菌を退治し、炎症を軽減します。副作用も少なく、安全性の高い薬ですが、症状が重度であったり、効果が感じられない場合は、獣医師に相談し、別の治療を検討することが大切です。正しい使い方を実践し、愛犬の耳の健康を守りましょう。